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あの日読んだ砂漠という小説の西嶋のかっこよさをあなたはまだ知らない。

あの日読んだ砂漠という小説の西嶋のかっこよさをあなたはまだ知らない。タイトルがどこかで聞いたことのあるフレーズに無理やり似せようとしているけど限界だろと思うかもしれないけど、そんなことはどうでも良くて、砂漠という小説に出てくる西嶋のかっこよさを自己満で語っていこうと思う。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

 

入学した大学で出会った5人の男女。ボウリング、合コン、麻雀、通り魔犯との遭遇、捨てられた犬の救出、超能力対決…。共に経験した出来事や事件が、互いの絆を深め、それぞれ成長させてゆく。自らの未熟さに悩み、過剰さを持て余し、それでも何かを求めて手探りで先へ進もうとする青春時代。二度とない季節の光と闇をパンクロックのビートにのせて描く、爽快感溢れる長編小説。

 

 正直、僕がいくら西嶋のかっこよさを語ったところで、やはり小説を読まないと伝わらないと思うし、伝えることは不可能だと思うので、単純に書きたいから書くし、ネタバレは当たり前で、西嶋にだけフォーカスしていく。これを読んでも内容はわからないだろうし、僕にとっての西嶋のかっこよさが伝わるかは謎だし、意味わかんねーよとなる可能性も十分にあるのでご了承ください。

 

 

この小説ではメインの人物が5人出てくる。北村(冷静に周りを見回す男性)、西島(ぶっとんでいてヤバいけどかっこいい男性、少しぽっちゃり)、南(超能力が使えて真面目な女性)、東堂(容姿端麗でクールな女性)、鳥井(盛り上げ役の男性)だ。これも僕が適当に印象を説明したので、ぴったりではないし、僕の記憶や感覚で書く。

 

 

この5人が初めて出会うのは大学の集まりなのだが、みんなが居酒屋でありきたりな会話などを楽しんでいるところに、西嶋が現れる。西嶋は遅れてきたのに、そんなこと気にもせずマイクを持っていきなり自己紹介を始める。

 

「数日前、千葉県からやってきたんですが、今日、遅刻したのは、隣のビルの雀荘で麻雀をしていたら、抜けるに抜けられなくなったんですよ」

 

 とにかく西島はこの後も、世界平和を願って麻雀で平和(ピンフ)という役を点数安いのに作ろうとしているのに、周りのオヤジ達が邪魔して俺を負かすのはおかしいとか、世界のあちこちで戦争が起きてるのに俺たちは何をしているんですか、とかアメリカはまた戦争をするのに日本の若者は怒らないんですか、とかジョーストラマーやラモーンも死んじゃったんですよ、だから俺たちが立ち上がるしかないでしょう。馬鹿な学生が引き継ぐしかないでしょうとか一人で喋り続ける。

 

 

実際には西嶋は喋り続けている間も周りの学生が失笑や不快感を示しながら、「帰れよ」とか「馬鹿じゃねえの」などの不快感を表している。

それでも西嶋は負けずに、その気になれば砂漠に雪を降らすことができるんですよとか、ニーチェの言葉を引用したりしながら熱く興奮して喋り続ける。

 

 

正直、ここまで書いて僕は西嶋のかっこよさが伝わるのではないかと思っているが多分伝わる人と伝わらない人がいるだろう。実際に現実でそういう場があれば間違いなく西嶋は嫌悪感を多くの人にあらわにされるだろうし、不快感や罵声を浴びせる人たちも多いことは容易に想像できる。

 

 

しかし僕はたぶん現実にそういう場にいたら西島に興味がわくだろうし、何かしら自分から話しかけたり、とにかくいろいろ語りたいと思うだろう。なんか僕は西島に親近感を感じている、僕は絶対に西島のような態度は取らないけど(取れない)、実際に会ったら確実になんかすごい奴だなと感じるだろう。

 

 

 

正直、僕は飲み会のような場でのあらかじめ全体のある程度の合意がわかっている話題だとか、くだらない自己紹介をしあって、探り探り、どうでもよい当たり障りのない話とか、明らかにいい人に見せようとする態度とか、相手を褒めたがる人とか、そういうのがだるいし、くだらないとかつまらないとか思ってしまうし、適当に相手に合わせて話すのも僕は時間の無駄だなとか感じてしまうので実際は西島の話を聞いてる方が楽しいと感じるだろう。

 

 

だから西島はなんかすげーよって思う。正直だし、堂々としているし臆さない、北村や鳥井、南、東堂などはそのことをわかっている。そこから西島たちはボウリングや合コン、麻雀、通り魔との戦い、超能力対決などの出来事を体験していく。

 

 

僕が印象に残る西島のことばを紹介しようと思う。

「そうやって、賢いフリをして、何が楽しいんですか。この国の大半の人間たちはね、馬鹿を見ることを恐れて、何にもしないじゃないですか。馬鹿を見ることを死ぬほど恐れてる、馬鹿ばっかりですよ」

 

 

西島は自分の無力さを一番理解しているが、それでも自分なりに頑張っているし、実際に努力して結果を出している。僕はそんな西島にものすごく共感してしまうし、たぶん似ているところがあるのだろう、しかもサンテグジュペリだとかニーチェだとかを西島は好きなのだが僕も好きだし、ロックを愛しているとこも似ていて親近感を感じてしまう(だから自己満でブログを書いているんだろう)。

 

 

しかし、西島はすごすぎるし、僕は読みながら、「おい、それはやりすぎだぞ、やめとけ」と何回も思ったし、明らかに僕とは違う部分はあるし、そこが西島の大きな魅力なのだろう。西島は独善的な部分もあるけど、愛に溢れているし、単に夢物語を語っているのではない。例えば西島は捨てられた犬の保護サイトを見つけてしまったら、後先考えずに犬を引き取りいって、東堂に飼ってほしいとたのんでしまうような奴だけど、でも憎めないし、なんかかっこいいと思ってしまう。北村からは他の犬はどうするんだ?みたいなことを言われるがその後の西島のやりとりも面白い(気になった人は読んでみてほしい)。

 

 

とにかく西島のかっこよさを示したかったのでけど、あんまりうまく伝えられない。とりあえず、最後に西島のことばを引用して終わりにしようと思う。別に名言ではないし是非砂漠を読んで流れをつかんでほしいのだけど、

 

「人に訴えても伝わらないんだからね、もう別の物に分かってもらうしかないんですよ。ピンフをね、何度も上がることで、こっちの本気度合いをしつこくしつこく、分からせるわけですよ」

 

 

この文だけ読んでもなんだ?って思う人も多いと思うけど、まあ別に僕はいいと思っている(すいません)。本文では三島由紀夫の話題からのこの言葉がくるのだけど、相当感動するし、すごい共感してしまう。やはり、西島のかっこよさを伝えるのは難しいなあと思うし、「全然わかんねーよ」とか、「こいつこの文書いといて適当にまとめやがって言いたいことわからん」とか様々あるだろうし、そもそもここまで駄文を読んで到達する人の割合が限りなく低いことも分かっているが、まあもしもいて、少しでも興味持ったら読んでみてください。

砂漠 (新潮文庫)

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 サンテグジュペリの本、星の王子さまもいいけど、人間の土地はほんと素晴らしいよ!

人間の土地 (新潮文庫)

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 他の記事も書いたのでよければ読んでほしい!!