僕と本と未来

本を読んで感想などを書いてます。

はじめて哲学する本 依存について 死について

 

著者は都内で義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校の校長を務め、よのなか科などでも有名な藤原和博さん。この本では結婚、家族、男と女、仕事、職業、倫理、個性、戦争とイジメなどについて哲学していく。

はじめて哲学する本

はじめて哲学する本

 

 この本は本の帯にも書いてあるんだけど、11歳から大人まで幅広い年齢層の人が読んでも何か新しい発見があるのではないかと思う。これから僕がこの本で印象に残ったところを紹介しようと思う。

 

依存について「テレビ中毒」

 

TV中毒になることによって心配なのは、眼が悪くなったり、思考ができなくなるなどとTVの悪影響についてたくさん言われているけど、著者はホントにヤバいのはそんな、見えるところに現れる影響ではないという。

TVのニュースや番組では、何でもわかりやすく伝えようとする結果、すべてのものごとを「二項対立(二つのものが対立するような)」の構図で描く傾向があること。たとえば「こちらが善人(ヒーロー)で、こちらが悪人(ヒール)」とか「こっちがアタマいいキャラで、こっちはオバカ・キャラ」とか「そっちが勝ち組で、あっちは負け組」とか

 

TVって二項対立の構図で描く傾向があるよね。でもそれっておかしいなって僕は思う。現実は単純に善悪なんて決まらないし、いろいろ複雑なことだったり裏があることって多いと思うんだ。

 

だけどTVでは「敵か味方か」「好きか嫌いか」というような二項対立で物事を考える傾向が強く、結果的に「気に入るか気に入らないか」で単純行動に出る人間が増えてしまうんだ。

 

他にも僕がTVを見ていて違和感を感じていたことを著者も書いていた。

 

人間は家族のように身近な存在から流される情報を無条件に信用するクセがあるから、TVがある人物を「悪モン」とか「敵」と報道すると、それが「天の声」となって世間のムードを決めてしまう。

 

これって本当に怖いなって思う。TVなどがある人物を批判したりすると、何も考えず、何も知らないのに、その人物は悪い人だって決めつけてしまう人って本当に多いと思う。そしてTVが叩いているんだから自分も叩いて良いんだと勝手に勘違いして、集団で叩くことって結構あるんじゃないかな。

 

そしてTVを見ていて怖いと思うのは、ある人を持ち上げて「すごい人」だなどと報道していても、少し何かあると犯罪者のように今までの報道とうって変わった報道をしていたりする。そして少し前までは素晴らしい人と報道されていた人がうって変わって悪人のように報道されたりしている。何かあるとすぐ手のひらを反す報道を見ていると少し嫌な気持ちになることがある。

 

ここで大事なことはTVでの報道は絶対正しいわけではないという事だ。そして偏った報道もあるという事だ。テレビのインタビュー映像などでも、あっ、こっちの方向に持っていきたいんだなって思うことだってある。そしてTVは視聴率を高くすることによって広告掲載料を高くしていきたいという目的があるから、TV業界などに不利なことは報道しないし、もしも利権に手を付けようとする人がいれば叩くという事だってあり得ると思う。

 

 よのなかの事象をそのつど細かく「哲学」することを忘れ、みんなが「思考停止」に陥れば、TVのお告げどおりに世間が動く異常な状態が出現する。

 

だから僕たちはTVを見たときにこの報道は本当に正しいのか?と考えたり、偏ってないか?などと考えていく必要があると思うんだ。そしてTV自体が悪いわけじゃなくて鵜呑みにしないということが大事なのかなと思う。僕だってTVはよく見るし好きな番組だってたくさんある。だから個人の心がけが大事なんじゃないのかな。

 

死について

 

残酷なようだけど、誰にでも「死」は、必ずやってくる。どこに、どのように生まれるかはみんな違うし、育った環境によって、サッカーが得意になったり、算数やピアノが得意になったり・・・千差万別だ。でも、「死」だけは誰にでも平等に、いつか訪れる。

 

著者は「死」を思う事を恐れる必要はないという。なぜなら、それは「生」を輝かせる道具だからだという。現実の世の中には余命宣告などを受けて必死に闘病している人などもいる。著者の友人で肺がんで亡くなった奥山貴宏さんをゲストに迎えた「よのなか」科の授業で子どもたちがこんな質問をした。

 

余命宣告をされる前とあとでは、何がいちばん違いますか?

 

 この質問の奥山さんの答えが僕にはすごい響いた。

 

「一日一日がとつぜんだいじに思えてくるのね。愛しいっていうか。たとえば、ちょっとヘンなんだけど、毎日食ってる吉野家の牛丼でさえも、ああ、あと何日この味にありつけるのかなって。」

 

この文を読んで僕が思ったのは、日々の当たり前の生活でさえ本当に幸せなんだなって思った。日々出会う人や体験すべてが本当に貴重で素晴らしいことなんだと思う。だから時々でもいいから「死」を想い、限られた人生を大切にしていこうと思う。

 

そして普段から会う人なども地球規模で考えるとめぐりあう可能性は奇跡に近い。だから日々感謝の気持ちを忘れずに、人を大事にして幸せに生きていこうと思う。

はじめて哲学する本

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