僕と本と未来

本を読んで感想などを書いてます。

下流志向 学ばない子どもたち働かない若者たち 「それを学ぶことで何の役に立つの?」

著者は内田樹さん。この本では勉強を嫌悪する日本の子ども、「自分探し」イデオロギークレーマー化する親、ニートの未来などのことについて著者の考えが素晴らしい。教育関係者の人はもちろんのこと親世代の人にも読んでもらいたい本だ。

僕がこの本を読んで最も関心があった部分は、勉強を嫌悪する日本の子どもというところだ。 

 

今の子どもたちは、学びの場に立たされたとき、最初の質問として、「学ぶことは何の役に立つのか?」と訊いてくる。非常にシビアな、ある意味で非常にビジネスライクな質問をしてくる。

 

これは僕たちのような若い世代では当たり前のようによく聞く言葉だ。著者もこれには一理あると言っていて、子どもにとって40分なり50分なり、教室に座ってじっとしていて、先生の話す話を聞いて、ノートをとるという事は、ある種の「苦役」だと言っている。

 

 

そして著者はこの「苦役」を子どもたちは教師に対して支払いをしているというふうにとらえている。そして子供たちは苦痛や忍耐をこれだけ払うから、それに対して先生は何をしてくれるの?と訊いている。

 

そして僕のような若い世代は生まれて初めての社会活動が買い物だという事は多いと思う。

 

 

例えば初めての買い物でお菓子を買ったとする。レジでは5歳の子どもであろうと40歳の大人であろうと「いらっしゃいませ」と丁寧にサービスをしてくれる。当たり前なんだけど子どもにとっては驚くべきことだ。

 

 

お金を使う人間として立ち現れる場合には、その人の年齢や識見や社会的能力などの属人的要素は基本的に誰もカウントしない。

 

 

だから、子どもたちは僕は買い手だ、と名乗ればどんなところでも一人前のプレイヤーとして参入できると感じる。そして等価交換するということを覚える。

 

等価交換的な取引のいちばん大きな特徴は、買い手はあたかも自分が買う商品の価値を熟知しているかのようにふるまう、ということです。

 

 

そして僕たちは「その商品が欲しい」と思った時にしかお金を出さない。だから子供たちは価値や有用性が理解できない商品には買う価値がないと判断する。そして商取引の場ではその商品には興味はないから、と示すことが取引を有利に進めるということを子どもたちは知っている。

 

 

そして子供たちは学校の教育サービスで有用性や価値を理解できるものが非常に少ないということだ。だから子供たちはこの授業は10分の価値しかないから他の時間は寝ていようだとか、マンガを読もうなどと必死に努力している。そして僕は授業に興味がないからねと一生懸命アピールする。これも商取引において有利に進めるための方法と同じだ。

 

 

子どもがまず学ぶべきことは「変化する仕方」です。学びのプロセスで開発すべきことは何よりもまず「外界の変化に即応して自らを変えられる能力」です。学びの人類学的意味はそれに尽きます。「学び」は人類と同じだけ古い。それに比べれば、市場経済や等価交換の原理が人間世界に入ってきたのは、ごく最近のことにすぎません。ですから、市場原理を掲げて学校教育に立ち向かう子どもたちは、いわば、人類学的な進化圧に抗して戦っているということになります。おのれの幼児的欲望を抱え込んで、決して成長変化することのない消費主体のままでいること。市場原理は子どもたちにそうあることを要請します。でも、それは子どもたちを幸福にするためではありません。子どもたちを外界の変化にも適応して生き延びさせるためでもありません。けれども、そのことを子どもたちに告知する人はほとんどいません。

 

 

僕が思ったのは小学生や中学生のうちから価値や有用性をわかったきになるのは危険だと思う。僕は別に学校の勉強は素晴らしいなどとは全く思わないし、学校の教育をもっと楽しく思考力を問うような授業に変えていくべきだと思ってる。だけど小、中学生のうちから学ぶことを価値がないと決めつけ放棄するのは危険だ。

 

 

だけど必要以上に学校の勉強をする必要はなくて、本を読んだり、友達と遊んだり、いろいろな体験をしていくことも重要だ。そして、子どもたちが僕たちが住んでる世界は家と学校と塾だけじゃなくてもっと広くてこんな仕事もあるし、こんな生き方もある、先生や親の言っていること以外にもたくさんの選択肢があって「僕はこの道で行こう」と思うことが出来るようになれば、僕は学校の勉強なんて放棄して自分のやりたいことだけをやってほしいと思う。

 

 

ただ、その道を行くにはリスクなどももちろんあるし、そのようなことを分かった上で選択できるような思考力を身に着けていることが大事だと思った。そして学校教育も時代が変わるように教育内容を抜本的に変えていく必要はあると思うけど、教える人を変えるのが難しいんだよねってことは確かに分かる。

 

 

まあ、僕としてはいろんな体験をたくさんして視野の広い子どもが増えてほしいなと思った。この本には他にも興味深い内容がたくさんあって良い本なので興味のある人は読んでみてほしい。

他にも記事を書いたのでよければ読んでほしい!!